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特定非営利活動法⼈ 図的表現活用研究所 設立趣意書

 日本では、かねてより初等教育において識字能力や計算能力を重視した教育が「読み書きそろばん」として重要視されてきた。

 しかし近年の情報化社会において、コミュニケーションの媒体として自然言語表現以外に、画像、映像などを含めた視覚表現について、その記述体系を理解し、整理し、活用する能力の重要性が高まっている。

 特に地図やグラフなど、図的表現に関するリテラシーは、識字能力や計算能力と並んで必要な重要な能力であり、本来であれば義務教育段階の早期に獲得されるべき能力の一つである。

 例えばこどもたちは、文字や数字を理解する過程で、図的表現がなされた教材で識字能力や漢字能力を獲得している。

 また情報化が進む現代社会において、従来の紙による地図から、デジタル地図をベースとしたスマートホンやタブレット端末、カーナビ等の機器による活用が進み、多くの人々がなんらかの「地図」に接する機会が急増している。

 しかし現在、デジタル空間における地図表現や図的表現の手法や活用方法、基準などについては理解が進まず、専ら提供側の視点にたった地図により、利用者の誤読や誘導を行うものが多く存在するのが実態である。

 国内外の地図と情報・コミュニケーション教育・研究を主導し、国土地理院による地図表現の改定や、ジャック・ベルタン氏(フランスの国際的に著名な地図学者)の研究の第一人者である森田喬教授の下、まちづくりに関する調査やそのベースとなる空間解析、図的表現に関する多くの研究実績と研究資源を有する法政大学デザイン工学部都市環境デザイン工学科の空間情報・伝達研究室(以下、「研究室」という。)が母体となり、研究室の活動を超えたOBOGの連携・協働により、教育機関や行政機関、民間企業の垣根を超えた活動を行ってきた。

 これらの経緯を踏まえ、本法人は、研究室のOBOGが連携・協力し、研究室における都市空間に関する情報技術やコミュニケーションに関する調査研究の成果や研究資源を、実際のまちづくりへの応用や、子どもの図的表現に関する能力(図的表現に関するリテラシー)の向上と、義務教育段階での導入の推進に活かして広く学術、文化、芸術の推進を図るものである。

 またこの活動を通じ多くの市民がその地域に暮らす意味を見出し、愛着とプライドをもって暮らせる社会の実現に向けた活動を行っていくことを目的とする。

 しかし上記のような活動については、任意団体や各種会社という組織形態では活動が困難となっており、会員の所属する組織を超えた公共的価値の創造と、一方で会員の所属する各組織おける情報管理等の観点から、公的活動を行う団体であることが公に認められていることが必要であり、そのためには特定非営利法人の設立が望ましいと考えられます。

 皆さまのご理解と幅広いご支援をお願い申し上げます。

       2016年10月8日

​         設立代表者  森田 喬

 

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